鎌倉大仏、十円玉何枚で作れるか!?
POST DATE 2017.03.28
鎌倉大仏は10円玉と同じ青銅でできている。
鎌倉大仏は重さ121トン、銅にスズが溶けた合金で作られています。作られた当時、大仏の表面は金箔で覆われていましたが、今では金箔が張られていた名残がごくわずかに残っているだけで、ほぼ銅の合金だけになっています。
鎌倉大仏を作り上げている合金の比率は、おおよそ銅70%・亜鉛20%・スズ10%。成分や比率が少し違いますが、オリンピックの銅メダル(銅97%・亜鉛2%・スズ1%)や10円玉(銅95%・亜鉛4%・スズ1%)と同じ青銅製です。
青銅の色は、本来、銅メダルや新らしい10円玉のような赤みをおびた光沢を持つ金属色をしています。しかし、時間が経ち酸化すると、青銅の表面は青緑色の錆(緑青)で覆われてしまいます。古い10円玉も緑青に覆われて青緑色になりますが、それと同じように、鎌倉大仏も長く風雨にさらされているうちに、今の青緑色の姿に変化したわけです。
鎌倉大仏を10円玉で作ったら4450万枚=4億4500万円ナリ!
鎌倉大仏が10円玉と同じ青銅でできているなら、それを集めて溶かせば、鎌倉大仏と同じような大仏を作ることもできるかもしれません。一体、何枚あれば鎌倉大仏を作ることができるのでしょうか?
鎌倉大仏は、表面積が約525平方メートル、厚みが約5.5センチメートルの青銅で作られています。青銅の体積を計算すると、面積と高さを掛け合わせて、2890万立方センチメートルとなります。 10円玉(直径23.5ミリメートル、厚み1.5ミリメートル)の体積は、一枚あたり0.65立方センチメートル。ということは、鎌倉大仏の体積2890万立方センチメートルを10円玉の体積0.65立方センチメートルで割ることで、鎌倉大仏を作るのに必要な10円玉の枚数=約4450万枚ということがわかります。
10円玉を4450万枚=4億4500万円分集めれば、鎌倉大仏に必要な青銅を準備することができる!のです。といっても、同じ体積の青銅を素材として買えば、約1億3千万円程度で手に入れることができるので、鎌倉大仏を10円玉を集めて作ろうとするのでは、値段的にかなり損をすることになります。
鎌倉大仏をアルミニウムの1円玉で作ったら、6050万枚=6050万円ナリ!
ちなみに、鎌倉大仏を1円玉で作るなら、6050万枚=6050万円で作ることができます。1円玉の場合は、材料として使われているアルミニウムの値段も約1円。硬貨の値段と材料費がほぼ同じです。そのため、アルミニウムで作る場合は、原材料のアルミニウムを買うのも、1円玉を溶かして作るのも、同じくらいの金額でできるということになります。
鎌倉大仏は中国の硬貨(宋銭)を集めて溶かして作られた?
高さ11.39メートルの鎌倉大仏は、鎌倉市の長谷にある高徳院というお寺に鎮座しています。鎌倉時代の末期1300年頃に幕府公式にまとめられた歴史書「吾妻鏡(あづみかがみ)」には、1252年8月17日に、大仏の鋳造(熱で溶かした青銅を鋳型に流し込んで形を作り始めること)が始まったと記録されています。
鎌倉大仏で使われている青銅は、科学分析(元素分析や鉛同位体比分析)の結果から、平安後期から鎌倉時代前半頃の中国華中や華南産であることがわかってきています。また、宋時代の銅貨(宋銭)とほぼ同じ組成です。そのため、当時価値が低かった古い宋銭を輸入し集めて溶かすことで、鎌倉大仏は作られたという説があります。古く使われなくなってきていた宋銭は安く輸入することができたので、青銅を材料として輸入するよりも便利だったり安かったりしたため(一円玉の例と同じです)、宋銭を溶かして鎌倉大仏を作ったのだろう、というわけです。
鎌倉大仏に関して書かれた文献はとても少なく、作られた理由やどのように作り上げたかも正確にはわからず「謎」が多い大仏です。10円玉と同じく青銅でできていた古代中国の宋銭で大仏は作られたのでしょうか?