タイズプレゼンテーション

ピタゴラスの穴 by 雑学界の権威・平林純

著者 平林純
1968年、東京都生まれ。京都大学大学院理学研究科修了。ウェブサイト「hirax.net」主宰。全く役に立ちそうもない雑学的な科学ば かりを日々研究している。著書に「論理的にプレゼンする技術―聴き手の記憶に残る話し方の極意」(サイエンス・アイ新書)など。

尿跳ねを解消する「究極小便器」と「尿跳ねを防ぐ2つのコツ」

便器に沿って角度30度以内、20cm以内に当たるように狙え!

尿跳ねは、便器にぶつかる「小便の運動エネルギー」が原因で起きる!

男性が小便器を使う時の尿跳ねは、便所の汚れや匂いを発生させたり、跳ね返った尿が衣服に付いたりもする、男性の頭を悩ます大問題です。この尿跳ねは一体なぜ起きるのでしょうか?

その理由は、「便器にぶつかる瞬間に小便(尿)が持っていた運動エネルギーのせい」です。勢いよく飛んできた尿が便器にぶつかった瞬間、尿はその勢いを止めきれず、まるで何かにぶつかった水風船やスーパーボールが飛び跳ねるように、便器の表面から空中へと跳ね返っていくのです。

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もちろん、尿が跳ね返らないこともあります。それは、尿には便器表面に付着しようとする力も働くので、たとえば尿が便器に向かって斜めにぶつかってきた場合などは、その力によって「尿は便器表面に沿った方向に流れていく」ようになるからです。

それなら「尿が付着しやすい便器を作ってしまえば、尿ハネが解決して最高じゃない!?」となるかというと、話はそう簡単ではありません。なぜなら、便器に付いた尿は「跳ねなくなる」かもしれませんが、「尿汚れが落ちにくくなる」ということにもなってしまうからです。

尿跳ねを防ぐ、未来の「究極小便器」が開発されている!

そんな悩みを解決すべく「尿跳ねを防ぐ究極の小便器」を作りたい!というプロジェクトがあります(*1)。UrineLuckと名付けられたこのプロジェクトは、「尿が便器に向かって斜めにぶつかってきた場合には尿跳ねはしない」ということを利用したものです。

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便器面に鋭い板をたくさん取り付けて、飛んできた尿がそれらの板に沿って流れていくように設計されているのです。また、さらに、便器の奥面に向かって尿が勢いよくぶつかったとしても、尿が跳ね返ってくることができない板を斜めに曲げつつ配置させることで、尿跳ねを全く生じさせない究極の小便器を実現するというのです。この小便器が搭乗したら、まさに理想の
小便器になりそうです。

飛び散り知らず!理系紳士の放尿とは?

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けれど、究極小便器が一般的になるのは未来の話。そんな小便器はまだ身の周りにはありません。それでは、尿跳ねを防ぐには、一体どうすればいいのでしょうか?

米国ユタ州立大学Splash Labの研究(*2)によれば、男性器の先端から放たれた尿があまり長く空中を飛ぶと、その間に細かに別れてしまうために便器に当たった時の尿跳ねが(尿が便器表面に付着し続けることができず)避けられなくなってしまうといいます。

また、ハーバード大学の研究報告(*3)の中にある実験データをもとにすると、尿が便器にぶつかるときの角度が30度を超えると尿跳ねが起きやすい、ということがわかります。

結論!

・(先端から出た尿を)飛距離20cm以内で

・便器に沿って斜め30度以下の(小さな)角度でぶつかる

ように小便をすれば尿跳ねは起きにくい!


*1 UrineLuck!(http://engin1000.pbworks.com/w/page/37794872/UrineLuck!)

*2 The Splash Lab :Urinal Dynamics: a tactical summary(The Splash Lab)

https://www.youtube.com/watch?list=UUuCMqFXQKHS72ZRtDBM2A2w&v=UgOx7zPtsaM

(http://www.bbc.com/news/science-environment-24820279)